【怪談】真っ赤な写真
こんばんは、山根こね子です。
今日の話は、私が子どもの頃の話です。
私の父にはYさんという友人がいました。
Yさんとは家族ぐるみで親交があり、毎年8月になると我が家とYさん一家で旅行に行くのが恒例行事でした。
その年は、私の家族(父・母・私)とYさんの家族(Yさん・奥さん・息子・娘)の計7人で小樽市のビーチにてキャンプをすることになりました。
みんなで砂遊びやビーチバレーをしたり、釣りをしたり、夜に花火をしたり、夏のいい思い出になる楽しい旅行でした。
例年、2日目は早起きをして観光地を回ってから帰るのが通例だったのですが、その年は朝からYさんが熱を出しひどく体調を崩していたことから、まっすぐ帰宅することとなりました。
道中、一度コンビニに寄った際に「Yさん大丈夫?」とワゴン車の後部座席のドアを開けて車の中を覗くと、夏なのにも関わらず、Yさんは唇を真っ青にしてガタガタと震えながら「来るな…来るな…」と苦しそうに寝言を言っており、子供ながらに何か見てはいけないものを見てしまったような気がしてガラガラと扉を閉めました。
数日後、旅行で撮った写真の現像が終わったので母と一緒に写真屋さんへ取りに行きました。
「現像ミスではないと思うが、確認してみてほしい写真がある」
店員さんにそう言われ、写真をパラパラと確認していくと、ふと、昼間に海で遊ぶ子どもたちを撮った写真に目が止まりました。
周りには丸い光が点々と映っている
そして、その写真は全体が真っ赤でした。
子どもたちの楽しそうな笑顔とは裏腹に不気味に真っ赤に染まった写真。
似たような写真が5枚ほどあり、共通して言えることは、私の父の買ったばかりのカメラを借りてYさんが撮影した写真だと言うことでした。
心霊写真は写った人に霊障が起こるというのはよく聞く話ですが、撮った人が…というのはあまり聞いたことがなく、そもそも写真と体調不良は関係ないのかもしれませんが、あまりにも偶然だったので、母と「気持ち悪いね」なんて話をしていたのを覚えています。
それから心配になりYさんの奥さんに念のために連絡をしましたが、今はもう熱も下がって仕事に行っているとのことでした。
しかし、病院へ行っても原因は不明だったと言っていました。
毎年行っていた旅行でしたが、その年を最後にパタリと行かなくなりました。
理由は、Yさんがあれからずっと体調を崩し続けていたから。
そのうち仕事も辞めて、入退院を繰り返す生活をしていました。
旅行から3年後、Yさんは亡くなりました。
肝臓ガンを患っていたそうで、若かったことで進行も早かった。
「お酒が好きだったからね」
Yさんの葬儀でみんなそう言っていました。
私は10年以上経った今も、あの写真とあの日のYさんのうわ言の意味が気になって仕方ありません。