むいしきのいしき

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【怪談】昔住んでいた古い家

こんばんは、山根こね子です。

 

劇的ビフォーアフター、今回もめちゃくちゃときめきましたね…

完成後はもちろんですが、制作過程がたまらなく好きで、子どもの頃からテレビにかじりついてみてました。

 

創作意欲が刺激されて今すぐにでもホームセンターに駆け込みたい気持ちです。

 

 

さて、今日は劇的ビフォーアフターの放送記念(?)に、古い家に関する怪談を紹介します。

 

 

私の友人の父は高校卒業してすぐの頃、当時で築50年以上経過している平家の古民家を格安で借りて一人暮らしをしていました。

 

その方を仮にMさんとお呼びします。

 

 

Mさんは当時会社勤めをしており、新人だったこともあり、仕事場の掃除や片付けを行って帰ってくるのは夜遅く。

 

帰宅後は適当に食事を済ませて床に就き、朝はギリギリまで眠り朝食は摂らずに仕事へ行く。

 

そんな日々を送っていたそうです。

 

 

そのため休日はほぼ寝て過ごすことが多く、その日も長い時間眠っていました。

 

「少しトイレに行きたい、でも立ち上がるのが面倒だなぁ」と思いながらも目を瞑り布団の中でゴロゴロしていました。

 

 

 

そうしていると、

 

 

ズッズッズッズッ

 

 

何かを引きずるような音がどこかからかすかに聞こえてきました。

 

 

 

古い家ということもあり

 

「ネズミかなぁ」

 

と思いながら目を開け、キョロキョロと部屋の中を見回し音の出どころを探しました。

 

 

一人暮らしで物の少ないその部屋に、それらしいものの姿はどこにも見当たりません。

 

 

窓からはもう西日が差しており、15時間以上眠っていたことに驚き、さすがにそろそろ起きた方がよいと思いトイレへ行くことにしました。

 

 

 

部屋から出ようとドアノブに手を掛けたところで、またあの音が聞こえてきました。

 

 

ズッズッズッズッ

 

 

振り返り、部屋の中を見るも何も変わったところはない。

 

耳を澄ませるとどうやらドアの外から聞こえてくるような気がする。

 

 

ネズミだとしたら何を引きずっているんだ?

相当重い物のような感じもする。

 

ちょっと怖くなってたMさんは、気配が通り過ぎるまでドアの前で待つことにしました。

 

 

ズッズッズッズッ

 

 

音は確実に近づいてきている。

 

 

古い木のドアのちょうど目線の高さに付いている磨りガラスをMさんはじっと見つめていました。

 

 

すると、右端から

 

 

ズッズッズッズッ

 

 

その音に合わせて"それ"は徐々に姿を現す。

 

 

白い顔

黒い髪

 

 

見えてきたのは女でした。

 

 

咄嗟にMさんはしゃがみ込み

 

「誰だ?女?あんな知り合いはいただろうか?泥棒か?昨晩鍵を閉め忘れたのか?」

 

とパニックになりながらも考えていると、ドアの前で音がピタッと止まりました。

 

 

 

相手が女だとしたら自分は男だし力では負けるわけがない。とっ捕まえて、警察に突き出してやろう。

 

 

そう考えたMさんはまず、そーっと磨りガラスを覗きました。

 

 

 

女の姿はない。

 

 

 

なるほど、向こうも自分に姿を見られたことに気付いてドアの向こうだしゃがんで隠れているに違いない。

 

そう確信したMさんは一思いにドアノブをガチャリと回し、木のドアを押し開けました。

 

 

 

そこには女どころか動物の姿すらもなく、ただただ静寂に包まれていました。

 

 

 

念のため家中を見て回りましたが、誰もいない。

 

 

部屋の窓、トイレの窓、浴室の窓、台所の窓と勝手口、そして玄関一通り戸締りの確認をして回りましたが、どこも鍵は閉まっていました。

 

 

あれは一体なんだったのか。

女は何を引きずっていたのか。

 

 

それからも、現在の奥さんと同棲を始めるまでMさんはその古民家に住み続けましたが、女の姿を見たのも不思議な出来事もその一度きりだったそうです。

 

 

遊びに来る友人の多くから

「お前の家に来ると頭が痛くなる」

と言われること以外は。

 

 

そういった話を聞かせていただきました。