【怪談】中古車販売店
こんばんは、山根こね子です。
今日は、先週知人のTさんから聞いたお話を紹介します。
Tさんは中古車販売店で働いています。
その中古車販売店は、お店の外に車両がズラッと並んでおり、建物の入り口を入って左手には商談テーブルと待合スペース、右手にカウンターと机が数台並び、カウンターの奥には扉を1枚隔てて事務所があるそうです。
普段は20時頃までには帰宅できるのですが、中古車業界は3月が繁忙期だそうで、その日は朝から特に来客が多く終業後のレポート作成に時間が掛かり、気付けば23時を回っていました。
そのお店の責任者であるTさんは部下たちを先に帰し、事務所で1人締め作業を行っていました。
シーンと静まり返る事務所に自分がキーボードを打ち込む音だけがカタカタと鳴り響きます。
すると、キーボードを打ち込む音に混ざって何か別の音が聞こえてきました。
手を止め耳を澄ませると、それは人の話し声でした。
部下が帰ってからかなり時間が経っているが、声は店内から聞こえてきているような気がする。
泥棒だとまずいと思ったTさんは事務所の扉を開け、恐る恐る店内を見回すと暗がりの中で待合スペースに置いてあるテレビの電源が付いており、バラエティー番組が流れていました。
部下たちが消し忘れて帰ったものだと思ったTさんはテレビの電源を切り、「テレビの音も聞こえないほど自分は集中していたのか」などと考えながら事務所に戻りました。
レポートも出来上がったところで帰る準備をし、事務所の電気を消してドアを開けたところで目の前をスーッと白い影が通りました。
心臓がドキッと激しく鼓動を打ったかと思うと、その瞬間先程消したはずのテレビがまたパチッとついた。
うわー!っとTさんは声を上げて店から飛び出し、ガチャガチャと焦りながらも鍵だけは閉めて急いで家へ帰りました。
翌朝出勤すると、テレビの電源は消えていたそうです。
そのお店では、2階の倉庫から足音が聞こえたり女性の目撃証言など、怪奇現象があとを立たないそうです。
「また何かあったら教えるね」
Tさんはそう言っていました。